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2011年10月アーカイブ

hosokub.jpg 国立環境研究所は同研究所ら9カ国による研究グループにより、今年の冬から春にかけて北極上空で観測史上最大規模のオゾン層の破壊が起き、破壊の規模は南極オゾンホールと匹敵することを確認したと発表した(写真は米国Aura衛星による北極オゾン量の観測。紫色の地域が低オゾン領域=国立環境研究所HPより)。オゾン層は太陽からの有害は紫外線をさえぎり地表の生物を守っているが、フロンガスなどに含まれる塩素により、特に南極上空での破壊が指摘されてきた。北極での破壊は少ないとされてきたが、今回の調査では高度18キロ-20キロメートルでオゾン量が80%も破壊されていたことが分かった。

 オゾンホールの生成にはマイナス80度以下という厳しい寒さのなかで成層圏の高度15-25 kmで発生する極成層圏雲の生成が不可欠。北極は南極に比べて海陸分布の違いから冬季でも10度くらい気温が高いため、南極ほど顕著なオゾン破壊がみられなかった。しかし2011年は北極上空を取り囲む強い気流により、異常低温が約4カ月間持続し、大規模なオゾンホールを生成したとみられる。

 南極上空のオゾンホールは日英の学者によって1984-85年に発見された。その後、モントリオール議定書によるフロンなどの生産・排出規制が国際的に展開され、オゾンを破壊する元となる大気中の活性塩素の総量は、2000年前後をピークに減少に転じている。しかし、南極オゾンホールも明らかに改善したとはいえず、今回、北極にも巨大なオゾンホールが出現したことで、オゾン層保護の取り組み強化についての議論が活発になりそうだ。なお、北極についてはオゾンホールの科学的な定義が決まっておらず、今回の発表資料で国立環境研究所は北極についてはオゾンホールと呼んでいない。

◇エコキーワード
オゾン層
 地球を取り巻く大気中のオゾンの90%は地上から約10~50km上空の成層圏に存在し、オゾン層と呼ばれる。太陽光に含まれる有害紫外線の大部分を吸収し、地球上の生物を保護する役割を果たしている。

オゾン層破壊物質
 1987年に採択されたモントリオール議定書での規制対象物質を指すのが一般的。日本では、1988年制定のオゾン層保護法に基づく特定物質がこれに当たる。具体的には、特定フロンおよびその他のCFC、トリクロロエタン、四塩化炭素などの有機塩素化合物や、特定ハロンなどの有機臭素化合物。

オゾン層の保護のためのウィーン条約
 単にウィーン条約ともいう。オゾン層の保護のための国際的な対策の枠組みを定めた条約。国際的に協調して各国が適切な措置を講じ、オゾン層やオゾン層を破壊する物質に関する研究や組織的観測を進めることなどを定めた。

オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書
 単にモントリオール議定書ともいう。に国際的に協調してオゾン層保護対策を推進するため、オゾン層破壊物質の生産削減等の規制措置等を定めたた。1987年に採択され、日本は1988年に締結した。

オゾンホール
 南極域などの上空でオゾンの量が大きく減少した領域。南極域上空では、冬から春にかけて極めて低温な状態となり、極域成層圏雲と呼ばれる雲が生じる。成層圏に到達したフロンガスが紫外線の刺激により、連鎖的にオゾンを破壊する。

  地球温暖化対策を推進する国連気候変動枠組み条約の作業部会に出席中の日本政府代表団は6日、異例の記者会見を行い、2012年に期限が切れる京都議定書の第一約束期間後の枠組みであるポスト京都のあり方について、京都議定書の枠組み延長にあらためて反対する姿勢を強調した。11月末に南アフリカのダーバンで開催されるCOP17に向けて、EUは京都議定書の枠組みを延長する案に賛成する方向で調整を進めており、10月中旬に開催するEU首脳会議でEUの案を最終決定する方針。京都議定書の延長に反対する国は日本のほかはロシア程度で、孤立感を強める日本は反対の姿勢と主張の正当性を国際世論にアピールするねらいがあるものとみられる。
 
 ポスト京都については 2009年にデンマーク・コペンハーゲンで開催されたCOP15まで決定する予定だったが、各国の利害が対立しまとまらなかった。2010年にメキシコのカンクンで開催されたCOP16でも決着がつかず、COP16では日本とともに京都議定書の延長に反対していたEUが延長に条件付で同調、かたくなに延長に反対する日本は孤立する形となった。
 
 京都議定書では先進国だけが温室効果ガスの削減義務を負い、しかも途上国だけでなく、最大の排出国である中国、2位の米国が削減義務を負っていない。これでは実効性のある地球温暖化対策にはならないというのが日本の主張。日本は福島原発事故により、原発を軸に二酸化炭素の排出削減を進めるという政策の根幹が揺らいでおり、1990年比で6%削減する第一約束期間の目標達成も難しい情勢。ポスト京都で京都議定書の枠組みが延長され重い削減義務を負えば、日本の産業界への深刻な影響は避けられない。米中を含めた削減の枠組みができなければ、日本は条約から離脱する可能性も指摘されている。
 
■エコキーワード
・ポスト京都議定書
 京都議定書で定められている第一約束期間(2008-2012年)以降の枠組みのこと。京都議定書では温室効果ガス削減の第一段階として、2012年までに締約国の温室効果ガス総排出量を1990年比で5.2%削減する目標を決めている。日本は6%の削減義務を負っている。各国の利害が対立し、ポスト京都の枠組みづくりは遅れており、11月末に南アフリカのダーバンで開催されるCOP17で決着するかどうか注目を集めている。