温暖化対策に逆行する脱原発と再エネ大量導入(キャノングローバル戦略研究所)

  キャノングローバル戦略研究所が「温暖化対策に逆行する脱原発と再エネ大量導入」と第する論文をホームページに掲載したが、産業界寄りの論理であり、否定されるべきものである。
 パリ協定を受けて世界の主要国は2050年までに、温室効果ガスの排出量を80%削減するという目標を達成するため、再生可能エネルギーの拡大、社会の低炭素化に取り組んでいる。この論文はこうした努力に対し、再生可能エネルギーの大量導入は電力価格の高騰につながり、地球温暖化対策に逆行する、と論じている。
 再生可能エネルギーが大量導入されれば、温室効果ガスは削減され、温暖化対策は進むことになるが、電力料金が上がるとなぜ温暖化対策に逆行するのか論じていない。想像するに、価格上昇を抑えるために、化石燃料に回帰するという論理なのだろう。
 さらに、本稿は再生可能エネルギーの価格は下がらない前提のようだが、世界では規模のメリットにより、エネルギーコストを大幅に下げるプロジェクトが進んでいる。中東、アフリカの砂漠地帯に大規模な太陽光発電所をつくり、欧州各国に送電する構想の一環で、カタールでは原発5基分の発電力という世界最大規模の太陽光発電所をつりく始めている。
 Googleはことし中に同社が利用する電力をすべて再生可能エネルギーでまかなうと発表しているが、温暖化対策だけでなく、長期的にみると再エネで電力を自給した方が外部から購入するよりコストダウンにつながると、説明している。
 日本は再エネを普及するインフラは弱い。だからといって、世界の主要国が低炭素社会づくりにカジをきり、脱化石燃料の動きが広がっているなかで、日本だけ別の方向を向けば、産業界も含めて「ガラパゴス化」は避けられない。結果的に日本製品は世界に通用しなくなるだろう。
 本稿と同日に経団連が発表した 「今後の地球温暖化対策に関する提言」でも2050年に80%削減に対して、否定的な見解を示しているが、アジア諸国をはじめ世界の途上国は日本の対応を見ていることに注意すべきだろう。
 気候変動による被害に苦しんでいる途上国は少なくない。温暖化対策に対し、後ろ向きな姿勢を印象づければ、日本は途上国、世界から信頼を失う。
 本稿は再生可能エネルギーはコストが高いから、化石燃料の使用を続け、原発も利用するという世界の潮流と逆行する経団連などの主張を支援する目的で書かれていると想定するが、明らかに間違いである。
出典 キャノングローバル戦略研究所 http://www.canon-igs.org/column/energy/20171017_4521.html

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