北極で南極オゾンホールに匹敵するオゾン破壊

hosokub.jpg 国立環境研究所は同研究所ら9カ国による研究グループにより、今年の冬から春にかけて北極上空で観測史上最大規模のオゾン層の破壊が起き、破壊の規模は南極オゾンホールと匹敵することを確認したと発表した(写真は米国Aura衛星による北極オゾン量の観測。紫色の地域が低オゾン領域=国立環境研究所HPより)。オゾン層は太陽からの有害は紫外線をさえぎり地表の生物を守っているが、フロンガスなどに含まれる塩素により、特に南極上空での破壊が指摘されてきた。北極での破壊は少ないとされてきたが、今回の調査では高度18キロ-20キロメートルでオゾン量が80%も破壊されていたことが分かった。

 オゾンホールの生成にはマイナス80度以下という厳しい寒さのなかで成層圏の高度15-25 kmで発生する極成層圏雲の生成が不可欠。北極は南極に比べて海陸分布の違いから冬季でも10度くらい気温が高いため、南極ほど顕著なオゾン破壊がみられなかった。しかし2011年は北極上空を取り囲む強い気流により、異常低温が約4カ月間持続し、大規模なオゾンホールを生成したとみられる。

 南極上空のオゾンホールは日英の学者によって1984-85年に発見された。その後、モントリオール議定書によるフロンなどの生産・排出規制が国際的に展開され、オゾンを破壊する元となる大気中の活性塩素の総量は、2000年前後をピークに減少に転じている。しかし、南極オゾンホールも明らかに改善したとはいえず、今回、北極にも巨大なオゾンホールが出現したことで、オゾン層保護の取り組み強化についての議論が活発になりそうだ。なお、北極についてはオゾンホールの科学的な定義が決まっておらず、今回の発表資料で国立環境研究所は北極についてはオゾンホールと呼んでいない。

◇エコキーワード
オゾン層
 地球を取り巻く大気中のオゾンの90%は地上から約10~50km上空の成層圏に存在し、オゾン層と呼ばれる。太陽光に含まれる有害紫外線の大部分を吸収し、地球上の生物を保護する役割を果たしている。

オゾン層破壊物質
 1987年に採択されたモントリオール議定書での規制対象物質を指すのが一般的。日本では、1988年制定のオゾン層保護法に基づく特定物質がこれに当たる。具体的には、特定フロンおよびその他のCFC、トリクロロエタン、四塩化炭素などの有機塩素化合物や、特定ハロンなどの有機臭素化合物。

オゾン層の保護のためのウィーン条約
 単にウィーン条約ともいう。オゾン層の保護のための国際的な対策の枠組みを定めた条約。国際的に協調して各国が適切な措置を講じ、オゾン層やオゾン層を破壊する物質に関する研究や組織的観測を進めることなどを定めた。

オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書
 単にモントリオール議定書ともいう。に国際的に協調してオゾン層保護対策を推進するため、オゾン層破壊物質の生産削減等の規制措置等を定めたた。1987年に採択され、日本は1988年に締結した。

オゾンホール
 南極域などの上空でオゾンの量が大きく減少した領域。南極域上空では、冬から春にかけて極めて低温な状態となり、極域成層圏雲と呼ばれる雲が生じる。成層圏に到達したフロンガスが紫外線の刺激により、連鎖的にオゾンを破壊する。

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